ブログ37 9月の行事④ お墓参り
ブログ37 9月の行事④ お墓参り
9月は、お彼岸(秋分の日)と敬老の日、二度の祝日がありましたので、先祖と自分、そして子や孫への命のつながりを思うよい機会だったのではないかと思います。
さて、先祖と自分との関わりを意識するものと言えば、お墓参りではないでしょうか。
私の家は婚家も実家も祖父母の代に東京に出てきているので、先祖供養のお墓参りと言っても、お参りするお墓に納骨されているのは、顔の知った人ばかり。都会のお寺の墓地なので、年中行事の一つとしてどうと言うこともなくすませていました。しかし、何年か前に、地元で代々続く旧家に育った友だちのお墓参りにつきあったとき、先祖との強いつながりを意識することになったのです。
それは彼女の実家の裏山を分け入った墓地で、墓碑の中には江戸時代のものもあり、一族が一堂に会しているといった感じ。ご先祖様を否が応でも意識せざるを得ない雰囲気でした。
大きな墓石の前には周囲より柔らかい感じのする盛り土と、目印のように灌木が植わっていました。彼女から、そこに一本ずつお線香を手向けてくれと言われ、土の山に順番にお線香を挿して行ったのですが、お参りしている最中に、埋葬されているのは土葬された方たちだと聞き、失礼ながら足元からぞわっとした覚えがあります。自分の家のお墓より、よそ様のお墓に参らせて頂いたことで、脈々と生命のリレーが行われて、今自分がここに存在しているのだなあと、実感した不思議な体験でした。
一般的なお墓参りの手順※1としては
①山門で会釈
②本尊に向かって合掌※2
③自分のお墓に一礼し、お墓周りと墓石の清掃(清掃後手を清める)
④墓石に水をかける
⑤生花を供える
⑥お線香やお供物を供える(供物は野鳥や猫などに荒らされないため持ち帰る)
⑦数珠をかけ手を合わせる
⑧お題目を唱える
※1 寺院の敷地にお墓がある場合
※2 霊園や墓地だけのお参りは③~⑧(⑦と⑧の数珠やお題目はなくてもかまいません)
※3 同じ墓地に親戚や懇意にしていた方のお墓があれば、お参りされる方が多いです。
先祖の供養と一口に言っても、宗派や地域によって大きな違いがあります。
私の場合には、婚家は浄土真宗で実家は日蓮宗です。
始祖である、親鸞と日蓮は生き方も考え方も対照的であったことは有名ですが、お盆の飾りつけ、お寺とのつきあい方、お墓の様子など、実家と婚家では対極にあると驚きました。
姑は浄土真宗のしきたりについて「門徒物知らずと言うくらいだから、さっぱりしているのよ」と言って笑っていました。ずぼらな私は婚家が楽で良かったと思ったのものです。
そして、お墓参りと言えば、一度体験させて頂きたいと思うのが沖縄のお墓参りです。
子々孫々、いとこもはとこも、親戚一同がお墓の前に集まり、大宴会を催すのだそうですが、あの楽しそうな明るいお墓参りは、いかにもご先祖様がそばにいて喜んでくださっているようではありませんか。お墓参りの意義の原点をみているようで私は好きです。
実は、自分の死後は子どもたちに迷惑や負担をかけたくないので、散骨を考えたことがあります。しかし、最近になって、少し考えが変わってきました。他界した両親を思う時、姿がなくなってしまったにもかかわらず、「ここにいる」と思えるのは、そこにお墓があるからだと思うようになったのです。こんな私でも、後々子や孫の心の拠りどころとして支えになれるのなら、普通にお墓に入り、普通にお墓参りをしてもらうのがいいのかなと考えているところです。
協会認定マナー講師 清水法子
15年程前に着物の着付けと同時に「和服和室を中心とした和の礼法」講師の資格を習得致しましたが、偏った知識だと感じ、子ども達の生活に密着した現代のマナーを知りたいと思い受講致しました。